こんにちは。gamba流編集部のカナコです。

今回、ご紹介するのはアスリートたちのチーム構築ネタ。
女性に特化したチームビルディングについて書かれた『チームのスイッチを入れる。~カリスマじゃなくてもできる組織を変える55の戦略~』のブックレビューをお届けしたいと思います。

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著者は、全日本女子バレーボールチーム監督の眞鍋政義氏。
眞鍋氏といえばiPad、と言われるほどに「IDバレーの眞鍋」としておなじみですが(ご本人いわく根っからのアナログ人間だそうですが)、就任4年目のロンドン五輪で、日本女子バレーに28年ぶりにメダルをもたらした名監督としても有名です。

さらに、今でこそ「世界で戦う、とりわけ強い女性たち」をたくみに率いている眞鍋氏ですが、
そもそもは、一人っ子で、中学・高校も男子校でバレーひと筋。
その後も実業団入りし、男だけの世界で生きてきただけに女心には人一倍うとかったそう。
おかげで女子バレーの監督に就任した直後は、
「言葉が通じていない? 僕は今、海外にいる?」
と思ったという空回り気味な体験談が並んでいます。

そんな眞鍋氏のモットーは、「勝つためには、全員が同じ目的を持ち、チームの結束を高めること」。
これってそのままビジネスに置き換えられますよね。
ではさっそく、中身を見ていきましょう。
 

世界共通、「女性はメンタル」である


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第四章「人間関係を調整する」に、
女性の心理を理解した上での、具体的なマネージメント術が記されています。

以下に見出しを引用しますが、
いずれも前提としてあるのは「女性は技術よりもメンタルである」という考察。
「女性の場合、メンタルのありよう、メンタルの成長が、チーム力、そして勝敗を左右する」
と眞鍋氏は言います。

また、
「データも大事ですが、最後はやはり、個々の気持ち。言葉ひとつで人をプラス思考にもマイナス思考にもできるのだとすれば、伝え方や指導の仕方も、選手のメンタルを考え、その中で最善の方法をとるべきだと考えています」
とも。

■女性には頭ごなしに言わない
■自分の過去の実績にとらわれない
■女性の素直さを生かす
■「女性の結束力」をネガティブにとらえない
■妬みをポジティブ感情に変える
■女性独自の繊細さを理解する
■みんなの前でダメージを与えない

さて、女性のみなさん、いかがでしょう? 

もちろん個人差もあるので一概には言えませんが、傾向としては、なかなか鋭いところをついているのではないでしょうか。

とりわけ的を射ているなあと思ったのは、「自分の過去の実績にとらわれない」の下りにある、「女性は相手のキャリアではなく、今、目の前にいる人はどうなのかで判断する」という分析。
セッターの竹下佳江選手もこれについて、
「どういう発言をするのか、どんな考え方なのか、信じられる人なのかなど、監督の表情や一挙手一投足も含めて(中略)女性の『様子見』は、もしかすると、男性より慎重な部分があるかもしれません」
と述べています。

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もうひとつ、個人的にギクリとしたのが「妬みをポジティブ感情に変える」の下りです。
男子チームでは一切気にしなかったこととして
余計な嫉妬心をあおらないよう、練習量、休憩時間にするたわいもない会話にいたるまで
「一人が特別」にならにように意識しているそう。

そう聞いて、正直、「女性ってめんどくさ……」と思いましたよね?(笑)。

眞鍋監督をしてもその気持ちは同様。
全日本女子チームのことを「猛獣だらけのサファリパークみたいや」と言い、
「女子は難しいわ」「女は面倒くさいなぁ」というフレーズを、選手たちの前でさらりと口にするそうです。

そして、それが許されるのは選手との間に確固たる信頼関係あってこそ。
では、眞鍋氏はどのように選手たちの信頼を得てきたのでしょうか?
 

「気にかけてくれているというのは、大きな力になる」


この本は、ベースに眞鍋氏の語りがあり、
それについて選手とスタッフが意見を述べるという構成になっています。
さすがは世界で戦う面々だけに、この手の本にありがちな上辺だけのぬるい言葉はありません。
総じてリアルな言葉が並んでいますが、一冊を通して、選手とスタッフが繰り返し述べているのが、
眞鍋氏の「コミュニケーションの細やかさ」。

「日々、声かけをしてくれて、選手一人ひとりを丁寧に見てくれている」竹下佳江選手

「僕らの位置まで下りてきて、同じ目線で話し、そのうえで判断してくれます」
川北 元コーチ
 
「褒め方もタイミングも絶妙」荒木絵里香選手

「一人ひとりが『私にできることを頑張ろう』と前向きになれるように声をかけてくれる」
大友 愛選手

「必ず『どう思う?』と意見を求められる」安保澄コーチ

ざっと見ただけでも、こんな感じです。

これらは、さまざまなチームに所属した経験から「一方通行のコミュニケーションでは勝てない」ことを痛感したという眞鍋氏が、一番に心がけていることだそう。

加えて、「全員に役割を与えて、評価する」ことも徹底しています。

チーム真鍋は、バレー界には珍しくコーチも分業制。
当然、一人ひとりの責任は大きくなりますが、
「誰が何をやったかをちゃんと見ていて、それをきちんと評価してくれる」
「(任せた上で)『責任を取るのは僕やから』と、逃げ道をつくってくれている」
と大久保茂和コーチ。

選手・スタッフを問わず、一人ひとりに「ちゃんと見ているよ」とメッセージを送ること。
信頼して任せた上で、遠くから見守ること。

こうした眞鍋氏の姿勢が、選手やスタッフの「監督の期待に応えたい」という気持ちを強く後押しし、
チームの結束力をも高めているのですね。

「自ら、この人に転がされたいと思わせてくれる」 

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ちなみに、眞鍋氏が選手やスタッフに役割を振る際は、チームの目標に対して、
どういう必要性があってその役割を与えるのかを明確に説明し、その上で任せるそうです。

これって付いていく者にとってはとてもやりやすい環境ですよね。

眞鍋氏というと、手元のiPadを見ながら躊躇なくメンバーチェンジをしていく姿に、
冷徹な印象も少なからずありましたが、
「数字は、ときに人を追い詰めるものですが、数字の話をしていても温かい人柄が感じられる。そして、目標設定が明確だから指示も明確です。だから選手はメンバーチェンジに対しても納得しています(大久保コーチ)」とのこと。

何だか理想の上司のように思えてきました。

「この人のために、じゃないですけど、眞鍋さんの力になりたいと思いました」とは、竹下選手の言葉。
「結果的に、選手もコーチも『眞鍋さんに転がされている』のかもしれませんが、むしろ自ら転がされたいと思わせてくれる監督は、トップにいる人としては理想だなと思います」
とメンタルトレーナー渡辺英児氏も言っています。

以上、眞鍋流マネージメント術、いかがでしたか?
社内のチームビルディングにおいてはもちろん、
公私を問わず、女性とつき合う上での一助にもなりそうです。

興味のある方はぜひご一読ください♪

この記事の投稿者: gamba流(ル)編集部 カナコgamba流(ル)編集部 カナコ