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こんにちは! gamba流編集部のコージです。

社員をどのように組み合わせるとより創造的な仕事ができるのか、どんな人材を採用すれば事業が成長するのか、社員がより気持ちよく働ける環境にするにはどうすればいいのか――こういった社員の働き方や組織のあり方について、常日頃から情報収集されている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回はこうした課題に対して、“センサー技術を使ったピープル・アナリティクス”によって解決策を見出していくという、先進的な取り組みについて書かれた本をご紹介します!

社員の会話や導線をデータ化して解析。通常では見えない職場環境を可視化する


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ピープル・アナリティクスとセンサー技術

題名は『職場の人間科学 ビッグデータで考える「理想の働き方」』とありますが、補足するとこの本の内容でキーワードとなるのは、先程も出てきたピープル・アナリティクスとセンサー技術です。

原題は『People Analytics : How Social Sensing Technology Will Transform Business and What It Tell Us about Us the Future of Work』となっており、訳者あとがきに書かれているように、直訳では「ピープル・アナリティクス:ソーシャル・センサー技術はビジネスをどう変えるのか。そして仕事の未来について何を教えてくれるのか。」となります。

ピープル・アナリティクスとは、この本に沿って解釈すれば「生産性や仕事の満足度が高い組織にするにはどのような人材が必要か」、「どのように人材を配置すれば、あるいはどのような職場環境にすれば、よりよく仕事ができるようになるのか」といったことを、さまざまなデータをもとに解決していく手法として見て取れます。

ここでのさまざまなデータとは、PCやモバイルデバイスから取得できるような「メールやweb閲覧履歴、メッセージングといった仕事をするにあたって利用した」データに加えて、もうひとつ「勤務中・休憩中の会話」や「オフィス内をどのように社員が動いたか」といったデータも含まれており、そういったデータを取得するための手段としてセンサー技術が関係してきます。

この本では、センサーでデータを収集するめのデバイスとして「ソシオメトリック・バッジ」が紹介されており、「トランプ大の大きさで重量は約25グラム」、「プライバシーに触れるため会話の内容ではなく、声量や声の高さ、強弱などをリアルタイムに処理して記録」できるといった特徴にも触れられています。

センサーでデータを収集して解決へ導く事例も掲載

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そもそもこの本の著者であるベン・ウェイバー氏自体が「ソシオメトリック・バッジ」の開発に関わっているようです。

現在はソーシャル・センサー技術を使ってコンサルティング・サービスを提供する「ソシオメトリック・ソリューションズ」の社長兼CEOとして、大手企業に対しての導入実績もあり、彼が携わってきた実践的な事例も本の中で紹介されています。

例を挙げると
  • 「バンク・オブ・アメリカでの従業員の燃え尽きとコールセンターの生産性」
  • 「スキルの高い従業員が伸び悩み、経験の乏しい従業員が最高の成績を上げているIT企業における業績予測」
  • 「研究開発部門での創造力の度合いを実際に予測できるかどうか」
といった課題に対して、ソシオメトリック・バッジとピープル・アナリティクスで解決へと導いていくのですが、「まさかそんなところに解決策が!」と少々の驚きがもたらされるような、先進技術を使ったからこその気付きが可視化されるケースも見られるのです。

あの企業にはすでにPeople Analytics部門が存在していた!

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ちなみにこの本でも触れられていますが、かのGoogleにはすでにPeople Analytics部門が存在している(!)そうで、本書によれば
 
 ピープル・アナリティクス・チームは、グーグル社内のメール・コミュニケーションのパターンを分析し、社内の流れを理解しようとしている。福利厚生についても実験を行っており、報酬体系や社員食堂のメニューを色々と変えている。そして、これらの変化が仕事の満足度や生産性に与える影響を、年間数十回にもおよぶアンケートで評価している。 

と、実験的かつ実践的な試みがなされているようです。

GoogleのPeople Analytics部門については、東洋経済オンラインが人事や人材マネジメントの観点から

 社内で活躍している人材の特性を分析して、選考基準の設定・選考に生かしている企業が増えてきている。

として「アナリティクスは人事をどう変えるのか? アナリティクス全盛時代の人材マネジメント(上)」という記事にて少しだけ紹介されていますので、興味のある方はご覧になってください。

というわけで『職場の人間科学 ビッグデータで考える「理想の働き方」』について、ざっと紹介してみましたが、いかがでしたか?
 
まとめとして、この本をオススメしたいのはこんな方です。
  • ICT分野で先進的な話題に興味を持っている方
  • 人事や経営管理に携わっており人材育成、採用などについて幅広く情報を集めている方
ちなみにこの本の推薦文にはMITメディアラボ副所長の石井裕氏、ロフトワーク創業者でありMITメディアラボ所長補佐である林千晶氏が。
この方々のお名前にピンときた方も読んで損はないと思います!

このソシオメトリック・バッジを使ったピープル・アナリティクス、本書では企業内で活用されていますが、基本的に場所は問わないですよね。学校や介護施設、病院、もしかしたら各家庭などでも将来的には使えるようになるのではないでしょうか。

データを参考にクラスの席替えや入院患者の病室が決定されたり、家庭の円満度なんかが客観的に提示される……なんてことが実現するかもしれません!

この記事の投稿者: gamba流(ル)編集部 コージgamba流(ル)編集部 コージ