こんにちは。gamba流(ル)の武部です。

最近、都内を中心に“コワーキング”や“シェアオフィス"と呼ばれる施設が増えています。
IT系のベンチャーやフリーランスの方などを中心に利用者も増えていますが、世間的に認知度はまだ高いとは言えません。
私たちgambaも横浜・馬車道にある「mass×mass 関内フューチャーセンター(※以下mass×mass)」という施設に入居しているのですが、実際どうなの?と聞かれることも多いです。
 
そんなコワーキング施設mass×massで、 9月9日(火)17時〜起業セミナーを行います。
起業家を支援している「創業手帳」と「mass×mass」「gamba」の共同開催です。 
今回は、セミナー告知特別企画として、コワーキング施設での取り組みや、起業について、さらに東京以外の地域で働くことのメリット・デメリットについて「mass×mass」と「gamba」両代表の対談をお届けします。 

コワーキング施設って何?自分も使えるの?などに興味がある方や
将来サラリーマン以外の選択肢や、地元で働く可能性についても考えたいと思っている方は、ぜひご覧ください!

コワーキング施設の役割とは

3.11に立ち上がった「mass×mass」

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—本日はよろしくお願いします。まずはmass×massについてお聞きします。はじめに、治田さんがmass×massの代表になられた経緯を教えてください
治田
以前はNPOのスタッフや起業家支援財団の事務局長をしていて、ここにコワーキング施設をつくる提案を組み立てるところから参画しました。提案が採用されて会社をつくることになり、2010年に取締役で入り、2013年6月に代表に就任しました。

—1年間を振り返ってみていかがでしたか
治田 
就任当初はいろんな意味で八方ふさがりの状況でした。今期に入りメディアに取り上げられる機会も増えたり、なんとか軌道にのってきました。
このような事業って投資の効果がみえづらいし、どうして成り立っていけるんですか?とよく聞かれるんですけど、根性です、と…。根性でしか表現ができないです(笑) 

—大変だったんですね…。ではmass×massの成り立ちを教えてください
治田
2011年3月11日が立ち上がりだったんです。最初から波乱万丈ですよね。
16時から200人くらいを招待してお披露目パーティが始まる予定だったんですけど、その前に震災が起きて、当然中止に。しばらくはビジネスも止まってしまったので入居者募集も最初からつまずいて。そんなとこから始まりました。
 
ここのモデルは、20年前にみたニューヨークの事例なんです。そこで見た成長支援型のNPOの施設をつくりたかったんです。でも、NPOという形態でなくてもいいかなと思って。ここも株式会社です。

—「mass×mass」という名前にはどのような意味があるのですか?
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治田 
「mass×mass」は「人とコトが集積する場所」という意味をこめています。
ロゴマークは付箋をイメージしているんですけど、上の空いているスペースは事務局が埋めるのではなくて、来てくれた人や集まってくれた人に埋めてもらおう、という思いを込めています。

変人を応援するクレイジーな施設でありたい

治田
最初は「be crazy」が合い言葉だったんですよ。
というのも、起業家って変人が多いじゃないですか、変わってないとできないですよね。

森田
できないす、できないす(笑)

治田
そのような人を応援する意味で、こんなキャッチもいいかなと。たださすがにクレイジーはまずいよねって話になって(笑)
私自身がNPOの出身ということもあって、規制とか慣習、ルールを守っているだけだと新しいビジネスはできないしイノベーションも起きないということを実感してます。そこをいつでも壊せる体制、よりよいものにしていこうとする人を応援する組織にしたいというのはあります。だから「break the rules」としました。

行政もわかりやすいビジネスは応援するけど、ちょっと外れちゃったものとか、これ儲かるの?というものとかは受け入れる側も自信が持てないんですよね。小さい組織だと発信するノウハウもないし。その辺をを私たちが担えればいいかなという感じですね。
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—日本で同じようなビジネスモデルはあったんですか?
治田
日本で目指す組織はなかったです。何をしたらいいのかを考えながら、手探りで始めました。

森田
当時シェアオフィスも今よりは全然少なかったですよね。インターネットカフェに毛が生えたものくらいしかなかった。

治田
そうそう。この辺りはレンタルオフィスは結構あったんですよ。でも、共同の受付があってビルの一室を貸し出すみたいな。みんなで顔付き合わせてやるってものはなかったですね。
だからそれを説明するのも一苦労だったし、不動産屋さんにも頼れなかった。

 —当初はどんな活動をされていたのですか?
治田
「社会的企業」の講座授業をやってました。「社会的企業」は海外だと雇用吸収力もあって注目されているんです。地域の課題を解決することで雇用を生み出す事業で、高齢者やシングルマザー、ニートなどの社会的弱者の方々を社会参加させるものです。でも日本だとなかなか担い手がいない。だからそのマッチングをしたり講座で会場を貸したりして人を集めてきました。

ゆったり働ける郊外か、熱気がある都心か

選んだ理由は家が近かったから…

—では、続いて森田さんにお聞きします。なぜgambaは横浜で起業したんですか?都内という選択肢はなかったんでしょうか
森田
1番の理由は、家が近かったから…。

治田
最初はお一人でしたもんね。

森田
2012年の11月からです。まだここも空いているときで。
他にも探してみたんですけど、24時間365日使えるシェアオフィスで手軽な値段で使えるところがほんとになかった。かといって事務所借りるのには敷居が高すぎて。
ここが一番条件よかったからですね(笑)
最初はそれだけの理由だったけど、入ってみて本当に良かったと思ってます。
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森田
レンタルオフィスだと中の人同士の交流はまったくないんですよね。

治田
箱に入ったらそれだけですよね。

森田
静かにしてください、とか言われちゃったりね。
あとシェアオフィスって狭いところが多いんですよね、こんなにゆったりしてない。
今都内のオフィスも間借りさせてもらってるけど、そこは結構机がびっしり入っていて。都内の方がベンチャーの熱気みたいなものはあるんですけどね。

治田
年齢的にも都内は若くないですか?ここは40〜50代が中心なので、年齢層は高いですよね。
横浜を郊外とは認めたくないですけど、若い人からみたら郊外なのかもしれないですね。 

—gambaはmass×massをどのように利用してきましたか
森田 
僕は結構使い倒してると思いますよ。長い時間いることもあるし、(共有の)コーヒーも一番飲んでる。

治田
コーヒーがあった方がいいとか、あれをやった方がいいとかいろいろ言われてます(笑)
森田さんからのご提案のおかげでだいぶ充実してきましたね。

森田
最近アイスコーヒーが流行りなんですよね、氷買ってきてね。

治田
いいですね、氷売ろうかな(笑)

—利用時間とサービスのところですね、他にはありますか
森田
元々は1Fの個人スペースにいて、それから2Fの部屋を1部屋借りれるようになって、今は2Fに2部屋借りています。会社の規模に合わせてスペースを使えるのが本当に有り難い。2Fの部屋がなかったら、去年どうしようって感じでした。ホントにお金がなかったからオフィスも借りられなかったし。 
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森田
こういう、フリーエリアとプライベートエリアが両方あるところってそれもまたあまりないですよね。 

治田
そうですね。ここは、2Fの部屋を借りたら1Fの個人スペースも自由に使えるようになっていて、例えば今日は会社の人と一緒にいたくないなと思ったら1Fにいってもいいし。「小さく借りて大きく使う」というのもコンセプトなので、もっと伝えていかないと。 

いろんな人がいるけど、怪しい人はいないです

—mass・massではどんな人が働いているんですか?
治田 
2割がITベンチャーで2割がいわゆる社会的企業ですね。あとはカテゴリー分けできないぐらい、本当にいろんな人がいます。例えば士業の方とかカラーコーディネイターとか。怪しい人はいないですけど(笑)うちの信用も大事なので、変な人がきたら水際で止めますから。

森田
変な人いますからね。

治田
そうですね、いろんな人がいるなぁと。その辺りの対応はすごい大変で。
だけど、ここにいる人たちの価値を出していかないと面白がってもらえないし、お金のニオイがする組織にしていかないとなと思っていて。お金が集まるところに、営利だって非営利だって人が集まってくるんで。それをやらなきゃいけないなといろいろ仕込んでいるところです。セミナーとかイベントとか。
とにかくいろんなアクターを取り込みながら仕掛けをしようかなと思っています。

とはいえ、うちは不動産屋さんを通さずに75社入ったんですよ

森田
それはすごいですね。手数料かからないですし。
 
治田
まだまだ多くの人に知られていないんですけど、来てもらうとかなり評判は良くて。
ここは入ってすぐワークショップスタジオなんで開放感があるでしょ。ごちゃごちゃ感もあるけど。それで受付があって、自分の受付みたいな感覚で利用できて。そこを入っていくとまた広いスペースがあって、この感じが来てくれるお客様には印象はいいと思っていただいているみたいですね。
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—今何割くらい埋まっているんですか?
治田 
何割っていうのがちょっと難しいんですけど、今の倍くらいのエントリは目指していますね。

森田
2Fの部屋のスペースは増えるんですよね?

治田
そうなんです。例えば行政のシェアオフィスって2年で出てください、とかが多いんですね、うちはしてないんですけど。居心地よかったら居ていいですよと。ただあまりにも定着しちゃってコラボレーションも何も生まれなくなるとよくないので、今度増床するところはトンガッた人たちを集めたいなと思ってます。

理想としては、ふらっと来て、月15000円でオフィス持てるんだ、と知ってやってみて、3,4年で2Fの部屋に移って、手狭になったらこの周辺地域のオフィス借りるみたいな。横浜で立ち上がったら横浜に税金を落とせるような事業者さんが増えることが私たちの願いでもあります。

森田
そうしたいですね。

治田
結局東京にいっちゃうわけですよ。東京にいってもいいんですけど。
横浜での事業を定着してもらってからいくのはいいんだけど、さっといっちゃうと何のためにやってるのかなって…。

森田
僕らもできれば横浜近辺にいたいなって思いますね。今都内にいかなきゃいけない仕事は少なくて、ほとんど僕だけだし、在宅勤務を結構やれるようにしているんですけど、テレビ電話とか社内SNSで遜色なく仕事できるし。わざわざ都内に出なくていいんじゃないかとは思ってます。

治田
若い人はそうじゃないかもしれないですけどね。

森田
渋谷とか僕はしょっちゅう行くんですけど、ココより2℃くらい温度が高い気がするし、誘惑も多いし家賃も高いじゃないですか。そこで敢えてがんばってやるよりももう少しゆっくりできるところで仕事できるようになったらいいんじゃないかなって思うんですよね。
 
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新しい働き方を応援して、発信していきたい

治田
私たちとしても新しい働き方って職住一致とかいろいろあるけれど、わざわざ都内に出なくていいんじゃないっていうのはこれからもっとあっていい気がしています。
去年高知県の神山町にある会社の紹介をみて、ベンチャー企業の現地の社員が川に足つっこんでパソコンやってるみたいな。あれいいなと思って。

森田
楽しそうですよね。

治田
なかなかこの辺では難しいかもしれないけど、(近くの)象の鼻カフェで仕事するとか、県庁の上の食堂やマリンタワーは海が一望できるくらい展望が良かったり、山下公園みたいな緑の中で仕事してみるとか、ちょっと足を伸ばして地域のお店とか自然の中で仕事できればなと。自転車置くのもいいですね。

森田
顔会わせてしなきゃいけない仕事ってそんな多いわけじゃないですもんね。それは集中的に午前中に終わらせちゃったりして、作業は自分が働きやすいところでやってもらったほうがいいですよね。

治田
そういうことを発信する場でもありたいなと思っていて。

森田
会社に来なきゃいけないというのは経営者側の甘えだったりもするんですよね。いないと何やってるかわかんないみたいな単なる不安感。一回それをリセットしてみると全然困らないんですよ。

治田
それはIT企業ならではですよね。私たちはいないとダメだけど…。
そういう考え方をしている人たちと連携していくことで、ここの窓口のあり方も変わってくるかもしれないですね。

森田
gambaは全国に開発のメンバーがいるし、子どもがいて時短勤務のメンバーもいます。
例えば子どもの発熱とかで、本人は仕事ができるけど出社が難しい場合などは在宅でやってもらってます。

これから増やす社員も完全に在宅勤務でもいいと思ってます。事務所代もかからないし、柔軟に仕事ができる。有効に自分の時間が使えるし、情報の共有がちゃんとできて、仕事をコントロールできれば全然問題ないですよね。

治田
それはすごくいいですよね。
うちのコンシェルジュスタッフはワークシェアに近いかな。新しい働き方やオフォスのあり方など私たちももっといろいろ勉強して、「東京では、こう」みたいな話もきいて。やらなきゃいけないことたくさんありますね。
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—郊外にオフィスを構えることのデメリットはないですか?
森田
僕は外出が多いから、1本で行けるとはいえ渋谷まで1時間弱かかるのはデメリットではありますね。都内に出るんだったら1日使うつもりで予定の調整をしたり。
採用にも多少影響はあると思ってるけど、gambaの社員はほとんど神奈川県在住なので、今のところ大きな影響はないですね。

治田
金融機関とのやりとりがリアルタイムにできないとかもありますね。支店だったりするので一手間かかることもあります。

森田
それはありますね。

治田
あと私たちは目指すところがないと言いながら東京の「千代田プラットフォームサービス」にノウハウ提供を受けたんです。でも、千代田区だと、例えば東京に住所を持ちたい人にとっては月2万5000円が全然高くないんですけど、横浜では1万5000円でも高いわけですよ。横浜にオフィスや支店を持つとゆうのが価値化されていない。これは何とかしていきたいところではあります。  

—逆にメリットはありますか?
治田
都内のラッシュを抜けなくていいのはあるんじゃないですかね?通勤でどれだけ疲弊してるか。たまに東京に行くと、昔は通勤で結構エネルギーとられてたなと思います。

森田
確かに、渋谷から徒歩10分の事務所と馬車道から徒歩10分の事務所では駅を出てからの疲弊感が全然違うと思いますね(笑) 
都心は本当に人が多いし建物も多い。開放感があってゆったりとした環境で働けるのが、何よりいいところですね。モチベーションも変わってくると思います。 

治田
横浜も人多いですけどね。

森田
いやー、都内は桁違いですね。
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東京に出る前に、若い人にも使ってほしい

—mass・massは今後どのような人・企業に利用してほしいですか。
治田
もうちょっと若い層に知っていただきたいですね。東京に行かなくてもここで十分同じことができるし、コストをかけずにここで仕込みをして東京に出ていく、みたいな使い方をもっと柔軟にしてもらえたらいいなと思います。
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【後編に続く】

横浜の起業を盛り上げる3社セミナー

【概要】
日時:2014年9月9日(火)17:00〜20:00
対象:事業を開始した創業者の方、士業の方、事業支援系の業者の方
定員:30名
会場:mass×mass関内フューチャーセンター
参加費:無料

お申し込み&詳細はこちらから。

治田友香
関内イノベーションイニシアティブ株式会社 代表取締役社長
長谷工コーポレーション入社後慶大院政策・メディア研究科修了。並行して日本NPOセンターの立ち上げなどにかかわる、シーズ・市民活動を支える制度をつくる会などを経て関内イノベーションイニシアティブ立ち上げに関わる。2013年6月より現職
 
森田昌宏
株式会社gamba代表取締役社長 
北陸先端科学技術大学院大学で情報技術を専攻。卒業後NTT研究所で研究主任として暗号技術の技術開発を経験。その後NTTコミュニケーションズの経営企画部、㈱Klabでプロダクトマーケティングと新規事業立ち上げを担当。楽天トラベル株式会社では事業戦略部において経営管理を担当。楽天の日報活用する文化に着想を得て2012年12月に一人でgamba!を開発、以降多くの企業やチームから支持をいただきgamba!を法人化。

この記事の投稿者: BE-TAKEBE-TAKE