こんにちは。gamba流編集部のカナコです。

今回お届けするネタは、TEDに学ぶチームビルディングシリーズ。
世界的マーケッターとして知られるセス・ゴーディン氏の『我々がリードする部族』を題材に、リーダーシップについて考えてみたいと思います。
(サイトのURLはこの記事の最後にご案内します ※1)

この講演は2009年公開と少し年数は経っていますが、近年のビジネスモデルの変遷を先取りしているという意味でも、今なお参考になる点が多いように思います。
 
ではさっそく、見ていきましょう。


世の中を動かすのは、“部族”によるムーブメント

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ゴーディン氏が着目したのは、物事を変える時、すなわち人々を動かす時のプロセスです。

私たちがビジネスや社会問題において、何かを変えようとする時、従来はマスマーケティングに頼るのが主流でした。
言うまでもなく、テレビなど各種媒体に広告を打ち、すべての消費者に向けて商品やサービスを一方的にプッシュする方法です。
また、それ以前は「より安い労働力」と「より速い機械」を備えた大量生産可能な工場の発展が、製品やサービス、時には国自体の構造をも変化させてきました。

しかし、今、そのどちらもが終止符を打ちつつあるとゴーディン氏は言います。
「我々はアイデアが生まれ、広がり、定着する過程が変貌しようとしている、まさにその瞬間にいるのだと思うのです」

この変貌の先にある新しいモデル。それが、以下にあげる“部族”によるムーブメントです。


「物事が変わるプロセス」
 
一人の異端者が立ち上がる
       ⇓
その問題に関心を持つ、“熱意ある”普通の人たちが共感する
       ⇓
“部族”ができ、ひとつのムーブメントになる


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“部族”とは、古くから(一説には5万年前から)ある人間の集団のこと。今、主にインターネットの浸透により、部族はどこにでもできるようになったと言います。
赤い帽子の女性の団体、赤い帽子のトライアスリートの団体、組織化された軍隊、組織化されない部隊、などなど。

「インターネットはすべてをつなぐことで全体を均質化すると思われましたが、そうでなくて、興味・関心のサイロ(塔)を作れるようにしたのです。(中断)つながりを持ちたいというだけの理由で、隅っこにいる人たちが、互いに見つけ出し、一緒にどこかに行ける」

つまり、世の中を動かすのは、普通の人たちの集まり、すなわち“部族”によるムーブメント。
そして、変化を起こすには、金でもシステムを動かす権力でもなく、部族を率いるリーダーが必要だとゴーディン氏は続けます。

その例として、世界的に知られるビジネスリーダー数名のエピソードが語られています。
何人かをピックアップしてみましょう。

〈コミュニティの支援を受けて、サンフランシスコを動物殺処分ゼロの街に〉

一人目は、サンフランシスコ動物虐待防止協会(SCPA)のナンバー2だったネイザン・ウィノグラッド氏。SCPAは元々、市からの依頼により街中の野良動物を殺処分するための団体でした。
年間400万頭の犬や猫が殺処分されていた現状に耐えらなかったネイザン氏は、サンフランシスコを殺処分ゼロの街にしようと奮起。
その挑戦を誰もが不可能だといい、案の定、彼の前には数々の障害が立ちはだかりました。
ねばり強く交渉を続けたネイザン氏が連携したのは、専門家ではないが、この問題に関心を持つ“情熱のある人々”。
結果、実現不可能といわれたこのプロジェクトは、わずか2~3年の間に目標を達成したそうです。

〈1足の靴に秘められた“物語”が、人から人へ語られていく〉

二人目は、世界的にブレイクしているシューズブランド「TOMS」の創設者、ブレイク・マイコスキー氏。
TOMSのコンセプトは、“One for One”。1足の靴が購入されるたび、靴を必要としている世界の子どもたちに新しい靴が贈られるというユニークなものです。
いち個人の購買力を世界規模の人助けに役立てることができる――。
この一足の靴が持つ“物語”に共感した人々が、ブレイク氏の代わりに人に話をすることで、TOMSの名は自動的に広がっていきます。
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他にも、熱狂的なファンの存在により成長を続け、Amazonに同社史上最大の額(2009年当時)で買収された靴のオンラインショップ「Zappos」のトニー・シェア氏、世界を変えるための“運動”を作り出したアル・ゴア氏。
そして、ビートルズとボブ・マーリーについても「彼らは、ティーンエイジャーやラスタファリアンを作り出すことはしていない、単にリードし、立ち上がって『俺についてこい』と言っただけだ」とその名があがっています。


重要なのは、熱心な信奉者を見つけること

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ここで、リーダーがすべきことをまとめてみましょう。

◆ 変える価値のある何かを見つけ、声をあげること
◆ それに対して言いたいことがあり、つながりたいと思っている人々を組織化すること
◆ その集団をリードすること

以上により、大きなムーブメントが生まれるとのことです。

ひとつ補足すると、従来のマスマーケティングでは大衆に向けるため、より平均的なアイデアを必要としましたが、この新しいモデルでは、「アイデアなり製品なり運動は、すべての人向けでなくていい」とゴーディン氏。
重要なのは、本当の信奉者を見つけること。
1000人くらいの熱心な人々がいれば成り立つという説もあるそうです。

さらに、ゴーディン氏は三つのクエスチョンを投げかけて聴衆を鼓舞します。


1. あなたは誰の心を乱していますか?
――誰かの心を乱していないならあなたは現状を変えていません
2. あなたは誰とつながっていますか? 
――人と人との間に生まれてくるつながり、多くの人にとってそれが生きる意味です
3. あなたは誰をリードしていますか? 
――作っているものの構造ではなく、それを導く人。
   つまり船頭部分こそが変化の生まれる場所なのです
 

ここまで読んで、「自分はリーダーになんてとても……」と思われた方もいらっしゃいますよね。
 
そうした声に対してゴーディン氏は、「誰もがなる必要はない」としつつ、リーダーになるにはある方法を作り、そこに人々を呼び込めばいいだけだ、とも。
その例えとして、スティーブ・ジョブズ氏とビル・ゲイツ氏の名があがっているのを見ると、さらに話が遠のいてしまいそうですが(笑)、最後に少し勇気づけられるエピソードを。

ゴーディン氏いわく、成功したリーダーを研究すると、誰もがカリスマ性を備えているそうです。ただしリーダーになるのにカリスマ性は必要なく、カリスマ性はリードすることで生まれてくるものだとも。
さらに、人が部族に属する時に一番望むこととしてあげているのが、
「自分がいないと寂しいと思ってもらうこと」。カリスマ性のあるリーダーはそれができるのだと続きます。

ビジネスにおいてはもちろん、物事の大小にかかわらず、自分も何かを変えることができるかもしれない。そんな気持ちにさせてくれるゴーディン氏の講演、興味のある方は実際の動画をぜひご覧ください。


この記事の投稿者: gamba流(ル)編集部 カナコgamba流(ル)編集部 カナコ